「こんなデザインはできませんか?」という声に対し、臨機応変に刺繍のパンチングデータを作成する。刺繍サンプルブックの制作、展示会で着用するユニフォームのデザインなど、多様な業務に携わっている青山さん。その仕事に活かされているのは、刺繍機を駆使する技術と、子どもの頃から磨いてきた表現力だ。自分がイメージし、描いたデザインが刺繍になる。その醍醐味を感じながらものづくりに向き合っている。    

ものづくりへの興味を形に

子どもの頃からファッションに興味を持ち、大学時代は服飾学科で服づくりを学んだ。一度は販売の仕事に就いたが、ものづくりへの関心が薄まることはなかった。そんなあるとき、好きなクリエイターのSNSを見て、刺繍機を使ったものづくりに興味を持つ。「たまたま見たのが、刺繍機で洋服や小物を作っている人でした。自分が描いたものが刺繍になるというのはすごいなと思いました」。その機械に書いてあったタジマという名前を調べたところ、愛知県の会社であることが分かった。思い立って問い合わせをしたことが、入社のきっかけとなる。「社員の募集はしていなかったのですが、この会社で働きたいと思い、気持ちを伝えました」。 

サンプルブックの制作で学んだこと

入社後の青山さんが力を入れて習得したのが、刺繍データの作り方だ。毎日のように研修を受け、スキルを磨いていった。その後、入社から1年半ほど経った頃にスタートしたのが、刺繍サンプルブックの制作である。掲載される刺繍のデザインだけでなく、サンプルブック自体のデザイン選定も青山さんが手がけた。「会社として伝えたいことや表現したいイメージに合わせながら、自分の感性やアイデアを活かしてサンプルブックを作りました。難しかったですが、学びになる経験でした」と振り返る。タジマの機械を使ってもらうきっかけになるような、魅力あるサンプルブックにしたい。そんな願いを込めて1冊の本を制作した経験が、青山さんを成長させた。 

ここでしか経験できないことがある

現在、青山さんの活躍のフィールドは広く、アパレルブランドなどの委託を受けて商品に刺繍を施すこともあれば、刺繍のサンプルを制作することもある。またある時は、大規模な展示会で使用されるユニフォームのデザインを担当した。この時に青山さんがめざしたのは、展示会に参加するスタッフの「チーム感」を醸成することだ。出来上がったユニフォームは好評で、それ以降の展示会でも使用されることになった。 

「仕事をしながら刺繍のスキルを磨くというのは、この会社でしか経験できないことです。まだまだ身につけたいことがたくさんあります」と青山さんは話す。「刺繍」という表現手法を通してこの先何を生み出していくのか、期待は高まるばかりだ。 

営業・企画部門 マーケティング部 青山ありあ  

1996年生まれ 
2020年タジマ工業入社 
大学卒業後、アクセサリー販売会社に就職。 
タジマの刺繍機と出会い転職を決意。現在はマーケティング部に所属する。 
休日は彫金の勉強や美術館巡り、映画鑑賞など、 
ものづくりの感性磨きに余念がない。