株式会社TISMの参画する「CFRP-アルミニウム一体化モノコック-カーボンニュートラルのための新しいアプローチ」が「JEC COMPOSITES INNOVATION AWARDS」を受賞
株式会社TISM(愛知県春日井市、代表取締役:兒島成俊、以下「当社」)は、当社を含む4社(※)で取り組んだ「CFRP-アルミニウム一体化モノコック」の製作が「JEC COMPOSITES INNOVATION AWARDS AUTOMOTIVE & ROAD TRANSPORTATION-PARTS 部門賞」を受賞したことをお知らせします。2月8日(木)フランスパリにて表彰式が行われ、表彰状を授与されました。
※トヨタ自動車株式会社、株式会社豊田中央研究所、株式会社トヨタカスタマイジング&ディベロップメント、株式会社TISM
「JEC COMPOSITES INNOVATION AWARDS」とは
「JEC COMPOSITES INNOVATION AWARDS」は、世界の優れた「複合材料の可能性を最大限に発揮する最先端の創造的なプロジェクト」に与えられる国際的な賞です。複合材業界とテクノロジーの発展を推進することを目的にフランスのJECグループが、世界で最も革新的なFRP製品や技術を表彰するものです。1998年の創設以来、自動車や航空宇宙、防衛、建築、インフラ、医療、電子機器など多岐にわたる業界や研究機関から最先端のイノベーションが発表されています。2024年3月5日~7日には、複合材料やその応用分野に関する世界最大級の展示会「JEC WORLD 2024」がフランスパリにて開催され、本受賞内容に関する展示をご覧いただけます。
公式サイト:https://www.jec-world.events/
展示会場:フランス パリ ノール・ヴィルパント展示会場
出展者名:Tajima GmbH
ブース番号:Hall 6 R82
受賞の概要
当実証実験はCFRPを効果的に使用することで、カーボンニュートラルの向上を目指すことを目的としています。異方性トポロジーの最適化、チューリングパターン繊維経路生成、テーラーメイド繊維配置、ナノ凹凸陽極酸化接合を統合することにより、三次元 CFRP-アルミニウム一体化構造を作り、繊維機能と材料利用の最適化を可能にしました。実物大の車両モノコックを、可変軸CFRPとアルミを複合して製作したことで、参照設計の45kgに対し15%の軽量化を実現。また、繊維材廃棄率を4%に抑えることができました。生産工程には当社が提供するTFP工法ならびにコンポジットファイバー縫付専用機「TCWM」などの刺繍技術が活用されています。
この実証実験の結果により次の効果を得られます。
- フルライフサイクルにおけるカーボンニュートラル
- 軽量化
- 繊維材の廃棄率と組み立てコストの最小化
- 材料使用の最適化
- 高度な製造プロセスの実現
■TFP工法について
本実証実験に活用されたTFP工法とは、「Tailored Fiber Placement」の略で、繊維束をコンピューター制御の刺繍ミシンで配置しプリフォームを作製する技術です。従来のCFRPはカーボンクロスを使用した積層による成形が一般的でしたが、繊維方向にのみ高い強度・剛性を発生するというカーボンファイバーの強い異方性ゆえに、中抜きやドーナツ形状、放射線状といった形状において性能面での課題がありました。また、カーボンクロスを使用する工法の場合、クロスをカットして使用するため素材の廃棄率も課題視されていました。対してTFP工法は、カーボンファイバーを基材上に縫い留めてプリフォームを形成します。連続的かつ自由に繊維を配置できるため、必要な方向に必要な強度・剛性を持たせる複合材構造設計が可能です。また繊維を切断することなく最小限に配向できるため、材料の廃棄率も最小限に抑えることができます。カーボンファイバーの持つ特性を最大化し、さらなる軽量化と高剛性を生み出す工法を提供しています。
■株式会社TISMについて
1944年設立の老舗刺繍機メーカー。タジマグループで販売する刺繍機の開発・製造を担う。刺繍の繊細さ・美しさにこだわり、業界ではじめてAI技術を搭載した刺繍機を開発。加えて、多様化するニーズに応える刺繍DXにも取組むため、2022年カナダのソフトウェア会社を子会社化。また、20年以上前から刺繍技術の応用展開を目的に研究開発に取り組み、コンポジットファイバー縫付機「TCWM」を開発。自動車業界や航空宇宙業界など幅広い分野でその技術が活用されています。
タジマグループリリースページ:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000039898.html