「今は裏方に徹しています」と話す酒井さん。部品製造部でマネジメント業務を手がけ、部材の見積りや発注、サプライヤーへの対応などを行っている。自身の仕事について語るインタビューの中でひときわ笑顔になったのが、若手時代の経験を語った場面だ。現在までの長いキャリアの中で、酒井さんはどんな経験をしてきたのだろう。
「これは面白い」と思える仕事
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酒井さんが1997年に入社したのは、TISM(当時は東海ミシン)の脚製作サプライヤーだったメーカー(現在のTISM部品製造部)である。働き始めると、CADを使ってレーザ加工データを作る業務に興味をひかれ、すぐ夢中になった。「開発部から届いた図面をもとに展開図を作る仕事です。たとえるなら、サイコロを開いたようなものをCADで作る感じですね。その仕事にハマって、『これは面白いぞ』と思いました」。
また、展開図を作るだけではなく、レーザ加工機を使った加工やプレスブレーキを使った曲げ加工を担当する。設計通りの製品が完成し、無事に出荷できた時の達成感は、とても大きなものだった。
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仲間の存在があるからこそ
自分の手で一つの製品を完成させる。その喜びとともに実感したのが、先輩たちの言葉のあたたかさだった。「『できたか? すごいな』と褒めてもらえるので、それがうれしくて『次もやるぞ!』と思いました。当時の自分はイキイキと仕事をしていたと思います」と酒井さんは振り返る。
現在、部品製造部で働くメンバーは皆、そうした喜びを経験してきた人たちだという。「やっぱり、みんなものづくりが好きなんですね」。製品が完成したことを喜び合い、高いモチベーションを持って次の仕事に向き合う。その充実感を共有できる関係は、部品製造部の強さにつながっている。「自分の手が空いた時は、まわりの人の状況を見て協力しにいくなど、お互いに協力できる体制が自然にできています」。
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みんなで喜び、みんなで悔しがる
現在の酒井さんは現場でのものづくりを離れ、マネジメント業務全般を手がけている。酒井さんに求められるのは、日々のタイムリーな状況把握だ。少しでも人員が欠けたり部品が足りなくなったりすると生産に支障が出るため、迅速な情報収集が欠かせない。その点、部品製造部は普段からコミュニケーションが豊富なので、現場で問題が生じた時は、すぐ酒井さんに情報が上がる。
「みんなが共通して持っているのは、品質に対する意識ですね。作るからには、きれいな製品を作って喜ばれたいと思っています。また、どうしてもクレームが出ることもありますが、その時はみんなで悔しがって次につなげています」。品質追求の重みを共有しているからこそ生まれる、チームの一体感。同じ気持ちを持ったメンバーが、より高いレベルのものづくりに挑んでいく。
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製造部門 部品製造部 酒井謙一
1971年生まれ
1997年入社
部署内はもちろん、他部署やサプライヤーとの
円滑なコミュニケーションに力を注いでいる。